樹木葬を考える

樹木葬を考える(4)

ここまでの「樹木葬を考える」で書きましたように私が市原南霊園を作った目的は、放置されて荒れてしまった里山を昔の美しい里山に戻し、維持して行くこと。(天徳寺様や真光寺様など多くの里山型霊園が目的にしています。)季節の移り変わりを感じて諸行無常(変わらないものなど何もなく、すべてのものは常に絶え間なく移り変わっていると言うこと、人の命も同じです。)を実感していただきたいこと、そして、自然の中で少しでも愛する人を亡くした痛みを癒していただきたいことです。そこで、市原南霊園の春夏秋冬をご紹介したいと思います。

まず、私が春になったと感じるのは何と言っても桜の花を見た時です。これは、日本人のほとんどの方が同じだと思います。昔、西行法師が「願はくは 花の下にて春死なん その如月の望月のころ」と歌いましたが、その花は山桜だと思います。今、桜の木の主流になっているのは江戸時代に作られたソメイヨシノです。山桜は、日本各地に自生しており、市原南霊園にある桜もほとんどが、自生の山桜です。ソメイヨシノは花が咲いた後に葉が出てきますので、木全体が花に覆われて綺麗ですが、山桜は、花と葉がほぼ同時に芽吹きますので、ソメイヨシノに比べて地味な印象を受けますが、花が散った後の数日間の若葉は赤色をしておりとても綺麗です。見られる期間は限られていますが、私はむしろ花が散った後の葉の方が綺麗に感じます。桜の花が散ると様々な花が咲き始めますが、霊園内にはシャクナゲが沢山植えてあります。桜の咲くのとほぼ同時期に早咲きのシャクナゲが咲き始め、五月の終わりごろまで次々に咲いて園内を飾ります。シャクナゲは、西洋シャクナゲがほとんどです。西洋シャクナゲには様々な花色がありますが、主にピンク系や白系の物を多く植えてあります。同時に様々な種類のツツジが咲きますので、春の霊園は華やかです。

花が咲き終わる頃には、初夏を迎えて山の木々の新緑の季節となります。若葉の輝きは生命力に満ち溢れてとても美しいです。新緑の好きな方と秋の紅葉が好きな方と別れると思いますが、私は、新緑の頃が一番綺麗に思います。反面、かつてブログにも書きましたが、若葉があまりにも生命力に溢れているため、二度と戻らない失くした命のことを思い出してしまいます。

新緑の時期が終わると本格的な夏を迎えます。山の木々は緑の色を濃くして木陰を作りますが、霊園は南側の斜面にあるため、かなり日当たりが良く暑く感じます。時々吹く風が心地よく感じる季節でもあります。また、皆さんが区画に植えた花々は、色とりどりににぎやかに咲き誇る季節です。夏の終わり頃は、台風のシーズンでもあります。雨の日でも通路は、ぬかるみになりませんのでお参りできますが、通路に敷いてある枕木が滑りやすくなりますので、足元には注意してください。霊園自体が里山にあるため眺めは良いですが、風当りも強いので台風の日のお参りはやめた方よろしいかと思います。

秋が訪れると少しずつ木々が紅葉してきますが、最近は、温暖化の影響かもしれませんが、気温差があまりないせいか昔に比べてあまり紅葉が綺麗でなくなりました。千葉県の紅葉の時期は、例年だと11月下旬から12月上旬頃です。それでもその頃になると霊園から見える山々は、赤や黄色に色づきます。大体、霜の降りる時期もこの頃からなので、霊園まで車で登るのはなるべくやめた方が良いです。暮れになると木々の葉もすっかり落ち冬がやって来ます。寒い冬の朝は、空気が澄んでいると遠くの山々が望めます。富士山が良く見える時期もこの頃です。本当に空気が澄んだ日は、山梨か長野か分かりませんが遠くの山の稜線が見えることもあります。また、気象状況によっては、大多喜町方面に霧が出で水墨画のように見えることもあります。

冬は、自生の椿が咲いているぐらいで花は少ないですが、木々の葉が無いので遠くの山々の眺めはとても綺麗です。千葉県は、あまり雪が降りませんが1月中旬から2月にかけて雪が降る事があります。雪景色も綺麗ですが、坂道を車で登るのは危険ですから絶対におやめください。できれば、冬の間の天気の悪い日のお参りは、霊園にご連絡していただき、道路状況をご確認ください。

2月頃は、一番寒い時ですが、ロウバイやミツマタなどの花が咲き始めます。3月上旬には梅の花も満開になります。だんだんと暖かな日が多くなってきて、山の斜面にすみれが咲く頃になるとまた、新しい春がやって来ます。