田舎では、私が子供ものころは人が亡くなると火葬せずに棺桶に入れて、村で決めた当番の人が地面に穴を掘って埋葬するいわゆる土葬を行っていました。その上に土を丸く盛って塔婆を立ててお墓としていました。その後、火葬するようになってからほとんどの家が石のお墓を作って骨壺をお墓に収めるようになり、お墓と言えば石のお墓が主流となりました。現在でも石のお墓が主流ですが、だんだん様変わりして、ベルトコンベアー式の納骨堂、樹木葬、散骨など葬送の方法も様々な選択肢があります。樹木葬について言えば名前自体は新しいですが、その内容はお骨の土葬であり、昔やっていた土葬の方法と、やり方はほとんど同じと言えます。

大通寺住職の墓

石のお墓は、某家先祖代々之霊位等と掘ってあり、家と言う単位を大切にする考えに基づいています。我々には確かに各々のご先祖様があり、私の命もご先祖から受け継いだものです。ご先祖様を大切にすることは、自分自身を大切にすることです。また、ご先祖様や自分自身を大切にする心がないとしたら、どうして他人を愛することができるでしょうか。そういう意味においてもご先祖、親、家族を愛することはすべての基本ではないでしょうか。石のお墓もとてもよいものだと思います。石のお墓は、石と言う強固な物に名前を書き、後世にも残すと言う意味があると思います。また、樹木葬はどうでしょうか。樹木葬は、木と言う生き物が墓標であり、年々成長します。木にも各々寿命がありますのでやがて枯れてキノコや微生物の栄養となって土に還ります。その下に埋葬したお骨もほぼ同じように土に還って行きます。我々の命も自然の一部に過ぎず、やがて自然に還って行きます。また、一年という単位で見ても春には花が咲き、夏は緑の葉を茂らせ、秋には紅葉し、葉が落ちて冬となるように、春夏秋冬を身近に感じることができます。世の中の人も物もすべて絶え間なく変化しています。人で言えば生まれ、年を重ねやがて死んで行きます。樹木葬は諸行無常というものを身近に感じ取ることのできるお墓ではないでしょうか。

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また、樹木葬にすると自分たちの代だけで終わりで後は元の山にもどると勘違いされている方がいらっしゃいますが、散骨と違って、樹木葬は、行政から許可を得た墓地で行っています。許可を得る事自体も難しいですが、その後の管理についても当然責任をもって行う義務が生じます。ですから、一代限りのご利用も可能ですし、先祖代々のように何代にも渡ってのご利用も可能なのです。長くなりましたので、次の機会にまた樹木葬について考えていることを書きたいと思います。

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